2012-01-01から1年間の記事一覧

努力とあきらめ

僕はそもそも「幸福って何?」という問いは、適切ではないと思っている。それは「何か一つの条件が満たされれば人は幸福になれる」という前提がなければ成立しない。「○○さえあれば幸せ」なんてのは子供の考え方だ。お金さえあれば幸せかというとそんなこと…

図々しさを身につけろ

先週、僕は他人の好意は快く受け入れ、かつ他人の抱く関心や喜びに役立つ機会を与えようという態度を持っていることが重要だと書いた。これは要するに他人との関係において「GIVEとTAKEのバランスが取れている」ということだ。 人はどうしてもGIVEは良いこと…

魅力について2

強い人間になろうとしていた過去の僕にとっては、当然、感情は「悪」であった。感情に左右されることなく、また感情を表に出すこともなく。それが強さだと思っていたから。だが、ちょっと周囲を見渡せば当たり前のことなんだが、感情を持たない人間などいな…

魅力について

成功した人間よりも、魅力的な人間になりなさい(A. アインシュタイン) さすがに、20世紀を代表する大科学者が言うと説得力ある。が、それはさておき。 自分のことを、他人とは違う「特別な人間だ」と信じている人はまずいないと思う。ところが、何か倫理…

理性の役割

本能と理性の対立は、常に哲学上の問題になる。十八世紀の哲学は理性を優先させ、ルソー以降の19世紀の哲学は本能を優越させた。だが実際には、本能と理性との対立という観念は、大部分架空のものである。---バートランド=ラッセル 慎み深く、誘惑を排し、…

幸福考1

「幸福」「幸せ」といった言葉はかなり曖昧なもので、例えば美味しいものを食べたり奇麗なものを見たりしたときに「こういう時に幸せを感じるよね」と言うときの幸せと、「色々あったが、それでも私の人生は幸せだった」と言うときの幸せとは全くレベルが違…

「何のために生きているのか」と問われたら?

宇宙の中で地球という惑星が誕生したのがとてつもなく確率の低い偶然の積み重ねであり、またその地球上で生命が誕生したのもまた偶然、さらにその生命からヒトが進化したのもまた偶然である。理由や目的があって生まれたのではない。こんなスケールの大きい…

「死」

僕にとって最初の身近な死は祖父でも祖母でもなく、父が白血病で他界した時のことである。自宅の仏間で親父の呼吸が停止したときは、何か特別な感情を抱くでもなく、真っ白になった親父の顔を見て「そんなものか」と思ったくらいであった。この時期の僕は外…

知識とか技術とか比較優位とかいうことについて

村上龍の「最後の家族」で、妹の知美が、元引きこもりの宝石デザイナー近藤の話を聞いている場面で、ソリティオ・ブルガリのエピソードが出てくる。 ブルガリはギリシャに生まれ育ったが、戦禍を逃れるために亡命し、いくつかの国を転々とした後、イタリアの…

自己矛盾について

学部生時代の後輩に、こんな奴がいた。 彼は飲み会などみんなが集まる場所ではいわゆる「バカ」をやる奴で、「アイツに何かさせればとりあえず笑える」という認識を誰もが持っていた。しかし飲み会の後でいつも、彼はこう漏らすのである。 「みんなオレを笑…

強さよりは、賢さを。

20代前半くらいまでは、僕も欲しいと思っていた。「人と自分を比べたときに、傲慢にもならず、ヘコみもせず、単に「違い」を認識できる精神の強さ」ってやつが。もちろん、そんな強さは、人間には手に入らないのである。人は強くなる代わりに、賢くなるこ…

比べるということ

自分らしさに拘ろうとする人ほど他人を知らない。自分も随分長い間そういう時期があったので、気持ちはよく分かるのだが。 人はよく、自分と他人とを比較して苦悩する。自分に欠けているものを持った人に出会うと、その人の資質を羨み、妬み、素直に賞賛する…

コミュニケーションについて

「探求I」の冒頭で、柄谷行人は言う。 他者とのコミュニケーションは、『話す→聞く』関係ではなく『教える→学ぶ』関係である。 「言葉の全く通じない外国人」や「まだ言葉を解しない子供」を「他者」として考えてみて欲しい。そのような他者に自分の意思を直…

コミュニケーションについて

「探求I」の冒頭で、柄谷行人は言う。 他者とのコミュニケーションは、『話す→聞く』関係ではなく『教える→学ぶ』関係である。 「言葉の全く通じない外国人」や「まだ言葉を解しない子供」を「他者」として考えてみて欲しい。そのような他者に自分の意思を直…

寂しさと恋愛と。完結編

僕は「冬ソナ」のような純愛は全く信じていない。1人のひとに一生を捧げるのが真実の愛だ、なんて自分でこうして書いただけで歯が浮いてしまう。でも、「かけがえのない存在」というのなら分かる気がする。かけがえがない、というのは「簡単に代わりなんか…

寂しさと恋愛と。その3

前回の到達点は、個人的に大切な何かを持っていて、そこに多くのエネルギーを費やしたい人は、「とりあえず…恋愛」に必要なエネルギーをセーブするのではないかということであった。もちろん、その逆までが真だというわけではないはずだが。 でもだからと言…